日本刺繍の特徴

日本刺繍の特徴とは

こんにちは!日本刺繍・風花の西野ふう香です。

今日は、日本刺繍の特徴について書いていきます。

日本独自の刺繍がある事、どのくらいの方がご存知でしょうか?

国の名前がついた刺繍では、フランス刺繍が有名ですね。

他にはデンマーク刺繍、中国も刺繍が盛んで、蘇州や汕頭など、地域の名前のついた刺繍が様々あります。

(日本刺繍も、京繍や加賀刺繍、江戸刺繍など、発展した地域の名前がついたものに細分化されますが、基本的な技法に大きな違いはありません。)

日本刺繍って、どんなものでしょうか?

他の刺繍との違いは、何でしょうか?

私も日本刺繍を学ぶ上で、気になった所なので、こちらにまとめていきますね。

絹糸で縫う

これは、日本刺繍の大きな特徴です。

日本刺繍には、釜糸と呼ばれる絹糸を使用します。

釜糸は、フランス刺繍の糸のように縒り合わさっておらず、絹の繊維が束になっただけのものです。

ですからとても繊細で、扱いが難しいです。

冬は静電気でふわーっと広がってしまったりするし、指のささくれに引っかかってぐしゃぐしゃになってしまったり…

なかなか大変ではあるのですが、そのような糸を使うからこそ、艶やかで美しい作品が生まれるのです。

日本刺繍を始める皆さまは、刺繍される前の釜糸を見るだけで、その美しさに魅了され、ため息をつく程です。

自分で糸縒りをする

先程、日本刺繍には縒りのかかっていない釜糸を使う、と説明しました。

それは縒り糸を使わない、という事ではなくて、縒り糸を使う場合は、釜糸を自分で縒って、縒り糸を作ります。

なぜ自分で縒るのか…それは、縫う模様の大きさによって糸の太さを変えたり、縒りの強さを変えたいからです。

縒りの強さを甘い(緩い)・辛い(強い)と表現します。

同じ縫い方でも、甘縒りの糸で縫えばふっくら優しく、辛縒りの糸で縫えばキリッと引き締まり、平糸で縫えばキラッと艶やか…といったように、糸だけでも豊かな表現ができるのです。

豊富な技法

日本刺繍の技法、つまり縫い方ですね。

ある模様があって、それを模様の縦に糸を渡して縫っていくか、横に渡すか、それとも生地目に沿って渡すか…

それぞれに、「たてぬいきり」「なりぬい」「ぬきぬい」という名前がついています。

基本的な技法だけでも40種類くらいはあると言います。

一通り習うだけでも大変ですね💦

飽きずに続けられると思います😅

冗談はさておき、模様があって、それをどんな色で、どんな糸で、どんな技法で縫うか…無限とも思える選択肢の中から、最適と思われるものを選んで縫う。

それが日本刺繍の醍醐味であり、奥深さであります。

同じ図案で刺繍しても、縫い手によって全く違った作品になるのです。

絹地に縫う

日本刺繍は、着物や帯に施された刺繍です。

ですから、生地も正絹の着物地・帯地を使用します。

なので、日本刺繍を施したものは、家でお洗濯できません。(悉皆屋さんにお願いしましょう。)

時々、刺繍教室に体験に来られた方で、「ジーンズに和柄を刺繍したいんです」とか、「ハンカチに刺繍したいんです」という方がいらっしゃるのですが、残念ながらそれはできません…😢

今は、化繊の着物地も安価に購入できますので、「それではダメですか?」という質問もあるのですが、絹糸で刺繍する時点でお洗濯はできませんし、とても手間暇かけて刺繍していくので、化繊の生地ではもったいない気持ちになると思います。

実際、化繊に刺繍した事はないのですが、化繊と絹では光り方が違います。

やはり絹地に刺す方が、糸との相性が良いでしょうし、繊細な糸が傷みにくいと思います。

重ね縫い

これも日本刺繍の大きな特徴で、刺繍を縫い重ねる事ができます。

どういう事かというと、面を埋めるように刺繍した上に、刺繍で柄を重ねて縫う事ができるのですね。

これは、繊維が細い絹糸だからこそできる事です。

別の、例えばフランス刺繍の糸でこれをすると、糸がモコモコして分厚くなってしまい、美しくならないのだとか。

面を縫う事を地引き、模様を重ねる事を上模様と言いますが、これは大変高度な技術と手間を要します。

実際に学んでから、上模様を施した刺繍作品を鑑賞すると、感動が全く違いますよ😊

色使いや柄

刺繍に詳しい方は、日本刺繍を見て、「中国の刺繍に似てるな」と思われるかもしれません。

それもそのはず、日本刺繍は漢字などと同様、中国から伝わったものなのです。

フランス刺繍などヨーロッパの刺繍は、丸い枠を使って、枠を持って片手で刺繍していきますが、中国や日本の刺繍は大きな木の枠に生地を張り、それを足になるものの上に置いて、両手で刺繍していきます。

私は中国の刺繍にはあまり詳しくありませんが、道具や技法などは、ほぼ同じのようです。

「それなら日本刺繍と中国刺繍を分けるものって何だろう?」

日本刺繍を習い始めた頃、疑問に思った私は、日本刺繍の先生に聞いてみましたが、はっきりした答えは得られませんでした😓

その後いろいろ学んでいく中で、そこを分けるのは、日本独自の色使いや柄など、感性の部分かな、という結論に至りました。

中国の刺繍は、鮮やかな色使い、豪華絢爛といったイメージ。

日本の刺繍は、豪華なものもありますが、もう少し落ち着いた色使いで、侘び寂びの表現の様な、日本人の美意識が反映されていると思います。

まとめ

以上、日本刺繍の特徴を、私なりにまとめてみました。

私が日本刺繍を知ったのは、高校生の時でした。

自分の国の刺繍が、こんなに美しい事を知り、誇らしく思ったと同時に、こんなにも知られていない事に大変驚きました。

この記事が、まだ日本刺繍を知らない方に、日本刺繍を知っていただくきっかけになれば嬉しいです😊

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